約束~悲しみの先にある景色~
「そうなのね…。じゃあお父さん、一緒に片付けましょ。瀬奈、怪我しなかった?」
そこで、ようやくお母さんが壁にもたれかかる様に呆然と座っている私の存在に気付いて。
(怪我……?)
そこで私は、怪我なんてしたっけ、と回らない頭でぼんやりと考え。
お母さんの目の前に散らばったガラスの破片を見やり。
じんじん、ちくちくとする両足の痛みに、両足から流れ出ている血の存在に、改めて気が付いた。
ガラスを踏んだのは分かっていたけれど、その痛みよりもお父さんからの言動の方がよっぽど私の心に痛みを与えていたから、まるで忘れていた。
「うぅっ………っ、……ーっ…」
(痛い痛い痛い痛いよおおおっ!)
記憶と感覚が戻った後の両足の痛みは、凄まじいものだった。
「どうしたの、そんなに泣いちゃって。怪我しなかった?」
ダムが決壊したかの様に勢い良く泣き喚き始めた私に、お母さんが慌てて駆け寄ってきた。
「ううっ、…お母、さんっ……」
(ガラス踏んだあぁっ……!)
(お父さんが…お父さんが包丁持ってたあぁっ……!)
(怖かったよおぉっ……!)
けれど、嗚咽混じりにしゃくりあげている私は伝えたい事のどれもが言葉に出来なくて。
それに、言ってはいけないあのワードも入っているから。
そこで、ようやくお母さんが壁にもたれかかる様に呆然と座っている私の存在に気付いて。
(怪我……?)
そこで私は、怪我なんてしたっけ、と回らない頭でぼんやりと考え。
お母さんの目の前に散らばったガラスの破片を見やり。
じんじん、ちくちくとする両足の痛みに、両足から流れ出ている血の存在に、改めて気が付いた。
ガラスを踏んだのは分かっていたけれど、その痛みよりもお父さんからの言動の方がよっぽど私の心に痛みを与えていたから、まるで忘れていた。
「うぅっ………っ、……ーっ…」
(痛い痛い痛い痛いよおおおっ!)
記憶と感覚が戻った後の両足の痛みは、凄まじいものだった。
「どうしたの、そんなに泣いちゃって。怪我しなかった?」
ダムが決壊したかの様に勢い良く泣き喚き始めた私に、お母さんが慌てて駆け寄ってきた。
「ううっ、…お母、さんっ……」
(ガラス踏んだあぁっ……!)
(お父さんが…お父さんが包丁持ってたあぁっ……!)
(怖かったよおぉっ……!)
けれど、嗚咽混じりにしゃくりあげている私は伝えたい事のどれもが言葉に出来なくて。
それに、言ってはいけないあのワードも入っているから。