約束~悲しみの先にある景色~
(知ってる。それは分かってるよ)
(でもね、違うのお母さん!…お父さんが言ってる事は、違う!)
言いたい事を言えない、もどかしさ。
言ったら刺される、苦しさ。
私は泣きながら、お母さんが私の足からガラスを抜くのを待っていた。
「っ……痛いっ!」
破片が私の足から抜けていく度に襲ってくる、鋭い痛み。
お母さんの死角の位置に立っているお父さんは、泣き叫ぶ私を見て鼻で笑っている。
(お父さん………)
そんなお父さんから、私は目が離せなかった。
「我慢しなさい。…もう、どうして瀬奈ったらガラスの上を歩き回ったの?足、血だらけじゃないの…。靴下まで汚しちゃって……この靴下、捨てましょう」
背後に居るお父さんが何もせずに笑っている事などまるで知らないお母さんは、眉を下げて私にそう言った。
「っ……その靴下、好きなの……」
何とか自分の足元に目を落とした私は、掠れた声で呟いた。
「また買ってあげるから。…瀬奈、痛いね…でも、じっとしてて……。お父さん、絆創膏とかが入っている救急箱を持ってきてくれる?タンスの1番上の引き出しの中に入ってるから」
その声に、
「ああ、分かったよ。瀬奈の足はどんな感じかな?」
と、瞬時に反応するお父さんの顔は、いつもの優しい父親の微笑みをたたえていた。
(でもね、違うのお母さん!…お父さんが言ってる事は、違う!)
言いたい事を言えない、もどかしさ。
言ったら刺される、苦しさ。
私は泣きながら、お母さんが私の足からガラスを抜くのを待っていた。
「っ……痛いっ!」
破片が私の足から抜けていく度に襲ってくる、鋭い痛み。
お母さんの死角の位置に立っているお父さんは、泣き叫ぶ私を見て鼻で笑っている。
(お父さん………)
そんなお父さんから、私は目が離せなかった。
「我慢しなさい。…もう、どうして瀬奈ったらガラスの上を歩き回ったの?足、血だらけじゃないの…。靴下まで汚しちゃって……この靴下、捨てましょう」
背後に居るお父さんが何もせずに笑っている事などまるで知らないお母さんは、眉を下げて私にそう言った。
「っ……その靴下、好きなの……」
何とか自分の足元に目を落とした私は、掠れた声で呟いた。
「また買ってあげるから。…瀬奈、痛いね…でも、じっとしてて……。お父さん、絆創膏とかが入っている救急箱を持ってきてくれる?タンスの1番上の引き出しの中に入ってるから」
その声に、
「ああ、分かったよ。瀬奈の足はどんな感じかな?」
と、瞬時に反応するお父さんの顔は、いつもの優しい父親の微笑みをたたえていた。