約束~悲しみの先にある景色~
とは言っても、その時に肺に残っていた酸素を全て使い果たしてしまっていて。


余りの苦しさで息を吸う事もままならないのに、それでも。


「お父さんごめんなさいごめんなさいごめんなさい、ごめんなさい許して、許してっ…!」


そう、掠れた声で懇願し続けていた。




そしてこの日が、私が人生で初めてお父さんに手を上げられた日となった。





この日以来、私は事ある毎にお父さんから虐待を受け続けた。


お父さんが私に手を上げる時は、決まってお母さんが家に居ない時。


お母さんが残業の時や会社で泊まる時なんて、お父さんにとったら絶好のチャンス。


ずっとずっと、私の事を気の済むまで傷つけていられるのだから。


私にとったら、夜ご飯も食べれずお風呂に入る事もままならず、本当に身の危険を感じる程尿意が激しい時にしかトイレに行けない、そして恐怖で全く寝れない地獄の時間なのだけれど。



小学1年生の時は約1か月に1回の頻度で殴られたり叩かれたり蹴られたり、包丁を肩に突きつけられたりされていたけれど、小学2年生の頃にはその頻度が約1,2週間に1,2回に増えた。


その頃にはもう、圧倒的な力の差で抵抗する事が出来なかった私はお父さんの前で笑わなくなっていた。
< 59 / 329 >

この作品をシェア

pagetop