約束~悲しみの先にある景色~
「とでも言うと思っただろ?学校じゃなくてお前に罪があるんだよ」



ああ、始まった。


お父さんが、こちらに向かって歩いてくる足音が聞こえる。


思わず、私は耳元に両手を持ってきて。


けれど怖くなって慌ててその手を下ろした私は、ぎゅっと自分の服の裾を両手で握りしめた。


(殴られるかな!?)


そう思ったのもつかの間、私はいつもの様に胸ぐらを掴まれ、反対側の壁まで投げ飛ばされた。


「うっ……!」


お父さんには何度もこれをされているけれど、それでも痛いのは変わりない。


ドンッと壁にぶつかった私は、ずるずるとその場に座り込んだ。


身体の節々が、もう既に痛い。


「お前が悪いのに学校のせいにするなんて、お前もとんだ馬鹿野郎だな」


「ごめんな、さっ…」


今度は、ひとつに結んでいた髪の毛を引っ張られた。


「やめっ、離してくだ……!」


私が有り得ない体制で彼の方を見た瞬間、髪の毛がブチブチと引っこ抜かれる感触がした。


(やだっ……!)


ぽろりと、1滴だけ涙が零れ落ちる。


「おい嘘泣きしてんじゃねえよ!演技したって無駄だぞクソが!」


髪を掴まれたまま、頬を殴られる。


「……違っ…」
< 68 / 329 >

この作品をシェア

pagetop