迷子のシンデレラ
「子どもの名前は琉依だね?」
子どもの存在まで……。
ううん。それはいい。でも……。
「まずは保育園へ迎えが遅くなる連絡をした方がいい」
慈悲をかけてもらえたのか、彼の真意をつかめないまま保育園に連絡を入れた。
電話を切ると彼の追及は再び始まった。
「ジョージにシャーロットにルイ。
見事にイギリスの王室だ」
「違う! 違います!
琉依は私の……」
「そう。君の子だ。
そして僕の子でもある」
真っ直ぐに射抜く瞳が全てを知っていることを物語っていた。
愛おしかったはずのエメラルドグリーンの瞳を恐ろしく感じる。
全てが後手に回ったと分かっているのに、首を左右に振りながら訴えた。
「お願いします。
琉依は、琉依だけは私から取り上げないで……」
勝手に流れてくる涙を拭きもせずに葉山へすがりつくように懇願する。
「あなたに迷惑はかけないわ。
認知して欲しいとも言わない。
だから……お願い。私の唯一の家族なの」
「唯一の……ね」
智美は頷いた。
そして自分の身の上話をし始めた。