迷子のシンデレラ
自分の身の上を聞いて彼が自分を少しでも不憫がってくれたら。
それで自分を、自分たちを見逃してくれたら……。
「私の父と母はもういません。
あまり裕福な家庭ではなかったのですが、それなりに幸せで。
でも、そう思っていたのは自分だけでした」
思い出すだけでつらくて智美は言葉を詰まらせた。
しかし話さないわけにはいかず、つらい思いを飲み込んで再び話し始めた。
「家族で出かけようって車でドライブに出かけました。
その先で……父は崖へ突っ込んだんです」
当時を思い出しても未だに信じたくない思いでカラカラに乾いた口の中の無い唾を飲み飲んだ。
そして、小さくひどく冷静な他人のような声が出た。
「ブレーキ痕はなかったそうです」
無理心中を図った父。
そして自分だけが生き残った。
「遠い親戚のところを転々として、疎まれて育ちました。
どうして自分だけ生き残ったんだろうって悲観したこともあります」