迷子のシンデレラ

「そう。
 みんな僕のことをよく知らない人は綺麗だって褒めてくれるけど。
 この瞳は疑惑の瞳さ」

「疑惑……」

「うん。父も母も純日本人で、もちろん目の色だって光に透かしたって茶色になるくらいだろう」

「え……でも……」

「そうだね。僕の目は緑が入ってる。
 そして僕の母は僕を産んですぐに亡くなった。
 なんだろうね。きっと何かあるって子どもながらに思ってたよ。
 だからかな。自分の瞳が嫌いだった」

「そんな……」

 とても綺麗な瞳だ。
 吸い込まれて離せなくなるほどに。

「でも、今は少しだけ好きになれたよ。
 僕にも家族が出来たことが分かる重要な印になったからね」

 彼の言葉に息を飲む。

「……会ったんですか?」

「うん。自分の目で確かめたかった。
 この緑の瞳で」

 彼が琉依を連れ去るくらいやろうと思えば容易に出来たかもしれない。
 彼の前から姿を消しさえすれば安全だという思いは浅はかだった。

 真っ直ぐに智美を見つめる瞳は優しく微笑んだ。
 けれどその優しい微笑みを素直に見られない。

 彼が何を思って自分や琉依に会いに来たのか……。

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