迷子のシンデレラ

 保育園に着き智美が挨拶をする前に葉山は自分が前へ行き、謝罪を口にした。

「遅くなってすみませんでした」

「いいえ。良かったわねぇ。
 琉依くんのお父さん、仲直りしたんですね」

 優しげな保育士へ微笑みを返す。

「おかげさまで」

 保育士と親しげに話している葉山を見て智美は面食らった顔をした。
 その姿がおかしくて笑ってしまった。

 保育園を出て二人並んで歩く帰り道。
 徒歩圏内で生活している智美に合わせてここでの滞在中、車は保育園の駐車場に停めさせてもらうことになった。

「琉依くん。ビックリしないでね。
 今日は珍しい人がいるんだよ〜」

 すっかり母親の顔をする智美に目を細めつつ、琉依へ挨拶をする。

「琉依。挨拶が遅くなったな。
 お前の父親だよ」

 自分より薄い緑色の瞳がパチクリしている。
 そして小さな手が髪の毛をつかんで「あーあー」言葉にならない声を発する。

「嘘……。
 いつも男の人、苦手で泣いちゃうのに」

 目を潤ませる智美に「それ、保育士さんにも言われたよ」と笑う。

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