迷子のシンデレラ

 数日前、突然押しかけた葉山に保育士はもちろん警戒した。
 けれどこの時ほど自分の瞳の色を誇ったことはない。

「その子の父親に決まってるでしょう?
 この目、緑色の瞳はなかなかいないんですから!」

 そう力説すると「少しだけですよ」とガラス越しに会わせてくれると言われた。

 保育士が抱っこしている琉依を連れてきて目が合った瞬間、不覚にも泣いてしまった。
 この世にこんなにも綺麗なエメラルドグリーンがあって、こんなにも愛おしいものがあることを知らなかった。

 そして、琉依はきゃっきゃ言いながらこちらへ手を伸ばしていた。

 警戒していた保育士も泣きながらガラスにへばりつく葉山に折れて琉依を抱かせてくれた。

 何より男性が苦手でいつも泣いてしまうはずの琉依が泣かないことに驚いて「奥さんと仲直りしなさいね!」と喧嘩別れした夫婦だと思われて励まされた。

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