迷子のシンデレラ

「葉山さんは葉山さんにふさわしい婚約者の方がいて、その……」

「あー。そこから話さなきゃダメ?」

 葉山は呆れたように言って続けた。

「端的に言えば親が勧める婚約者なんて全部蹴った。
 僕の幸せの為って言うのなら、僕は智美ちゃん以外、考えられない。
 例え、琉依がいなくても、だ」

「だって……」

 葉山の言う夢としか思えない台詞にもじもじしている智美へ葉山は悪戯っぽく告げた。

「どうして君が妊娠したのか、考えなかったの?」

 突然の歯に衣着せぬ物言いに言葉を詰まらせる。
 紳士的な面しか見せなかった葉山のあの日のあの彼を思わせる大胆でからかうような口ぶり。

「はい?
 それはだって……。
 葉山さんと……というよりも、葉山さんとは知らなかったんですけど、その」

 改めて本人に説明するにも上手く言葉に言い現せれない。
 それほどあの日の自分はどうかしていたのだから。


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