迷子のシンデレラ
「そう。どこの馬の骨と分からない男と一夜を共にしたせいだ。
智美ちゃんも案外、尻軽だよね」
「しり、しり、尻軽って……!」
なじってくる葉山の胸を叩いても葉山は笑っている。
思い描く甘い夢とは違う展開が現実なのだと迫ってくる。
彼のぬくもり、彼のにおい。
全てがすぐ側にあるのに、未だに信じられない。
「僕は君がシャーロットとは気づけなかった。」
悲しそうに言った彼に胸の奥が軋んだ。
それはもう一つ思っていたこと。
気づかれても困ったのだけど、そうだとしてもやはりシャーロットとは気づかない彼は自分自身を見てくれていないのだと。
そう思うのに、それを上回る想いを葉山は平然と口にした。
「それでも僕は智美ちゃんに惹かれた」
「葉山さん……」
真っ直ぐに伝えられる想い。
感動する暇もないほどに彼は次々に当時のことを口にした。
「本当は抱きしめてキスをしてめちゃくちゃにしたかった」
紳士的だった葉山と危険な男の色気を醸し出すあの夜の彼。
その二人が混ざり合ったような雰囲気に否が応でも鼓動は速まっていく。