迷子のシンデレラ
智美のことばかり考えていると朝岡が口を開いた。
「葉山さんが智美をどうしたいのか図り兼ねますけど。
泣かせたりしたらただじゃおかないって忠告しておきたかったんです」
静かに、けれど、本気であることを窺わせる気迫に思わず笑えてしまった。
「何がおかしいんです?」
「いや。失礼。
彼女は友達に恵まれているなと思ったんだ」
葉山の感想に少しばかり朝岡の警戒も解けた気がした。
「そう。それならいいわ。
葉山さんが智美にプレゼントを贈るでしょう?
それで、最近、智美も可愛らしい格好をするようになってね」
「へぇ。それはお会いしてみたいね」
彼女への軽口を睨まれて心の中で苦笑いした。
智美に何かしでかしでもしたら本気で刺されそうだ。