迷子のシンデレラ

 朝岡は葉山への忠告の手を緩めなかった。

「何もしなくても可愛いって私は知ってたんですけどね。
 可愛らしい格好をするようになって、みんなもいいって気づいたのね。
 智美、モテ始めたんだから。
 葉山さんもうかうかしないことね」

 これには面食らって本音がこぼれた。

「朝岡さんは僕を応援してくれているのかな」

「勘違いしないで」

 鋭い視線を向けられて両手を上げて降参のポーズを取った。

「私は智美が幸せならそれでいいの」

 彼女も自分と同じように智美に魅力されているのが分かった。
 葉山は朝岡に親近感のようなものを感じた。

< 79 / 193 >

この作品をシェア

pagetop