迷子のシンデレラ
今日はどうしても彼女に会いたくて朝岡へだいたいの彼女が終わりそうな時間を聞いて会社前で彼女を待った。
帰り道だなんて真っ赤な嘘だった。
会えるかもしれないとわざわざ遠回りしてここへ来ていた。
待っているのも五分のわけがない。
五分で会えずに気が済む時はそれで帰ってはいるが、会いたい時は何分でもその場で佇んでいた。
彼女に少しでも自分との出会いは運命だと思って欲しかった。
「あの……葉山さん?」
声に目を開けると智美が顔を覗き込んでいた。
突然の至近距離に胸が苦しくなって声が上擦りそうになる。
「あれ、どうして……」
「それはこっちの台詞です。
こんなところで居眠りですか?」
寝不足がたたったのか、待ちくたびれて眠ってしまったようだ。
「いや、智美ちゃんに会えたらな、と、思って……ハハッ、格好つかないな」
頭をかくと彼女の可愛らしい表情が破顔した。
その姿に目を奪われる。