迷子のシンデレラ

「お腹が空いて……。力が出ないよ」

「あぁ、そっち……」

 安堵した声を漏らす彼女に心の中では嵐が吹き荒れる。

 本当は違う。

 すぐにでもその可愛い唇を食べてしまいたい。
 二人きりになれるところへ連れ込んで貪るように君を……。

 欲情を無理矢理押さえ込んで自分から彼女を引き剥がす。

 手だけでも……との思いが彼女の手に自分の手を重ねさせる。
 そして、彼女の顔を直視しないように彼女を連行した。

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