迷子のシンデレラ
それが……。
「あの、お口に合うか分かりませんけど」
おずおずとテーブルへ運ぶ智美が持って来た皿を見て目を丸くする。
「おいしそうだね」
大きめの丸皿にハンバーグやサラダがワンプレートに盛り付けられており、さながらおしゃれなカフェのようだ。
「いつも通りにしか作れなくて……」
「いつもこうなら逆にすごいよ」
何か手伝おうかと立ち上がろうとするとそれを智美が制止した。
「大丈夫です。部屋、狭いので大きい葉山さんが動かれると大変なので」
「図体がでかいだけの木偶の坊って言われた気分だよ」
わざと茶化してみせると「そんなことありませんよ。我が家のサイズに合わないだけで……」と恐縮している。
甲斐甲斐しく世話を焼いてくれる智美に目を細めた。
自分のイメージアップを図ったつもりが、彼女の良さを再確認することになるなんてな。
肩を竦めつつも幸せを噛み締めた。