愛しい君を殺したのは誰?
山下さんは、昼休みになったらゆっくり話せるから、しばらく待って欲しいと言った。

僕はうなづき、待ち合わせ場所を指定し、図書館を後にした。

町には大きな川が流れている。

浅瀬の安全な場所で、僕達はよく遊んだんだ。

その浅瀬を待ち合わせ場所にした。

どこを見ても、懐かしかった。

川沿いにゆっくり歩きながら、僕は昔を思い返していた。

奏と2人で毎日見た風景。

都会にはない景色。

田んぼが続き、ずっと奥には山が見える。

風が心地よく僕を包んだ…

本当に気持ちのいい風だった。

奏と遊んだ時にも、よくこんな風が吹いていたな…

自然が大好きで、この町が大好きだった。

はず…

なのになぜ、二度と来ることは無いと、僕は思っていたんだろう…





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