もののけ会社と甘いキス。

「くっ……助けてやったのに
何をするんだ!?お前は……」

社長の右手に火傷を負ってしまった。

「す、すみません。
あの……わざとかではないです」

私は、必死に謝った。

わざとではない。
怖くて思わず拒んでしまったのだ。

しかし、どうしよう。
三津谷さんに知られたら殺される。

すると雪江さんが
スッと人間の姿に戻ると

「仕方がありませんよ。さっきのを見たら
普通の人間なら怖くなりますよ。
少し落ち着けば大丈夫。さぁ、響ちゃん」

社長に代わりに言ってくれた。

そして、手を差し出して起こしてくれた。
不思議と雪江さんなら大丈夫だった。

同じ妖怪なのに何故だろうか……?

「まったく。勝手にしろ」

社長は、それが気に入らなかったのか
プイッと背を向けてしまった。

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