もののけ会社と甘いキス。

「まったく。アイツらには、手を出すなとは
言っていたのだが……どうやら大天狗の指示らしい。
大天狗は、大の人間嫌いだからな」

社長は、ハァッとため息を吐いていた。

えっ……?

「じゃあ、やっぱり
あれは、社長の指示ではないのですね!?」

良かった……。

やっぱり社長がやっていなかったんだ。

信じたかいがあった。

「当たり前だろ。人間は儚い。
なら大切に守らないとならないだろ」

そう言った社長の表情は、切なそうに見えた。

自分の母親のことを思い出したのかもしれない。

やっぱり私は、

社長は、怖い人に見えなくなっていた。

確かに怖いところもある。
でも……悲しさを知っている。

人間の心をちゃんと持っている人だ。

社長……。

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