もののけ会社と甘いキス。
本当は、そんなことを言いたい訳ではない。
でも、これ以上は迷惑をかけたくなかった。
「……そうか。分かった。
所詮人間は、その程度か。
お前を買い被り過ぎたようだな」
社長に、ため息混じりにそう言われた。
その表情は、氷のように冷たい。
軽蔑をされたのかもしれない。
私が社長を本気にさせると言っておきながら
結局、何も達成していない。
口だけの女に過ぎないから……。
胸がズキズキと痛みだした。
「だが、それがどうした?
お前は、誰と好きになろうが知ったこっちゃない。
俺がお前に一生愛情が生まれないだけの話だ!
それぽっちの安い感情で俺を惑わせると思うな」
そう言うと背中を向けられるとそのまま
消えてしまった。
社長の口から拒絶されてしまった。
自業自得。
なのに……涙が止まらない。
思わず泣き崩れた。
するとひらひらと窓から美音が現れた。
式神モードの姿になると私を抱き締めてくれた。