もののけ会社と甘いキス。
「えぇ本当よ。呪いか何なのか分からないけど
ずっと昔からそうなの。
まぁ、そういう仕組みなのかしらね。
社長のお母様には、私も何度か
会ったことがあるけど綺麗で優しい方だったわ。
でも病で亡くなってしまったの。人間は、儚いから
だから本気になるのが怖いのかも知れないわね。
本気になるほど別れが辛いもの」
社長の母親が人間なのも驚いたが
そんな辛い過去があったなんて……。
意外な一面を知ることになった。
「だから、少しずつでいいから
彼のことを知ってほしいの。
妖怪だからとかではなく……本当の彼を」
本当の彼……?
私は、社長の何を知ればいいのだろう。
理解が出来れば、恐怖が無くなるのだろうか。
私は、分からないまま最後に連れて来られたのは、
社長と食事をする予定になっている
高級ホテルだった。
ワンピースに着替えると山里さんに
メイクとヘアアレンジをしてもらう。
「じゃあ私は、ここで。
社長とのデート楽しんで下さいね」
「色々とありがとうございました」
私は、深々と頭を下げて別れた。