かりそめ婚!?~俺様御曹司の溺愛が止まりません
「沙之くん、その話は、もう……」

喜美江さんが、暗く沈んだ声で遮る。

「……沙之。余計なことを瑠莉に吹き込むな」

颯志くんは、喜美江さんに目を向けようともせず、ただひと言、それだけ言い放って、再び歩き出した。

今の話は本当……?

否定しないということは、事実……。

颯志くんは無言のまま、私を車の助手席に座らせる。自分も運転席に乗り込み、強めにアクセルを踏み込んで屋敷を出た。

「颯志くん……仕事は……?」

「目途がついたから切り上げてきた。帰るぞ」

短くそう説明して、辿り着いた先は彼の自宅マンション。

駐車場に車を停め、エレベーターで彼の部屋のある二十五階へと向かう。
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