Shooting☆Star
事務所の鍵を閉め、百香を連れて車に乗り込む。
ハンドルに手を掛けると、いつもない違和感が左手にある。
「指輪、慣れなきゃな……」
祐樹は苦笑する。
噓みたいだ、と思う。
自分から結婚しようとは言ったがそれが上手くいくとは思っていなかった。
百香は祐樹の気持ちを知っていたとはいえ、きっと「ちょっと考えさせて」くらいは言われると思っていた。
先日、ダイチと二人になった時に「おまえら、いまだに恋人ごっこしてんの?」そう言って不思議そうな顔をされた。
百香に手を出してその関係が壊れるくらいなら、このままでもいいと、そう思っていた。そんな祐樹にダイチは「それって、ずっと苦しいだけだぜ。百香も、ユウも、もうガキじゃないんだし。お前、一生お預け喰らうつもりかよ。」と苦笑していた。
さっき「ユウくんがいい」と言いなおした百香は、何処か安心したみたいに笑っていた。
助手席の百香は通り抜ける街灯の光に掌を翳して、キラキラと光る指輪を眺めている。
「ねえ、この指輪、誰の入れ知恵なの?」
唐突に百香に訊かれて、祐樹は「えぇぇ……」と、変な声を出す。
「肌に馴染むゴールドを選んだのは、間違いなくユウくんだと思うんだけど。」
百香は指輪をじっと見つめて、サスペンスドラマの探偵みたいに考えながら喋り続ける。
「わからないことがいくつかあるのよね。そもそも、何で私の指のサイズ知ってるの……?」
「ダイチから聞いた。」
即答した祐樹の言葉に、百香は、「なるほど。マジでダイチに聞いたんだ、笑える……。」と呟いて窓の外を見る。
笑える、そう言いつつも、真面目な顔を崩さずに次の疑問を口にした。
「じゃあ、中に誕生石を入れたのは?」
「星を掴むって言葉、なんか、いいだろ。」
「うん。なんか、いいね。でもそれ、何情報なの?お店の人?」
「……拓巳。」
「拓巳かぁ……そういうの好きよだねぇ、拓巳。」
窓の外を眺めながら笑う百香に、石の意味を告げる。
「11月の誕生石はトパーズ。希望と友情。エジプトの神様、太陽神の石だって。」
「うん。」
「6月はムーンストーン。旅人を導く石。あとは…………」
「あとは?」
急に黙った祐樹を振り返って、百香が促す。
「……忘れた。」
そう言って、祐樹は言葉を濁した。
ハンドルに手を掛けると、いつもない違和感が左手にある。
「指輪、慣れなきゃな……」
祐樹は苦笑する。
噓みたいだ、と思う。
自分から結婚しようとは言ったがそれが上手くいくとは思っていなかった。
百香は祐樹の気持ちを知っていたとはいえ、きっと「ちょっと考えさせて」くらいは言われると思っていた。
先日、ダイチと二人になった時に「おまえら、いまだに恋人ごっこしてんの?」そう言って不思議そうな顔をされた。
百香に手を出してその関係が壊れるくらいなら、このままでもいいと、そう思っていた。そんな祐樹にダイチは「それって、ずっと苦しいだけだぜ。百香も、ユウも、もうガキじゃないんだし。お前、一生お預け喰らうつもりかよ。」と苦笑していた。
さっき「ユウくんがいい」と言いなおした百香は、何処か安心したみたいに笑っていた。
助手席の百香は通り抜ける街灯の光に掌を翳して、キラキラと光る指輪を眺めている。
「ねえ、この指輪、誰の入れ知恵なの?」
唐突に百香に訊かれて、祐樹は「えぇぇ……」と、変な声を出す。
「肌に馴染むゴールドを選んだのは、間違いなくユウくんだと思うんだけど。」
百香は指輪をじっと見つめて、サスペンスドラマの探偵みたいに考えながら喋り続ける。
「わからないことがいくつかあるのよね。そもそも、何で私の指のサイズ知ってるの……?」
「ダイチから聞いた。」
即答した祐樹の言葉に、百香は、「なるほど。マジでダイチに聞いたんだ、笑える……。」と呟いて窓の外を見る。
笑える、そう言いつつも、真面目な顔を崩さずに次の疑問を口にした。
「じゃあ、中に誕生石を入れたのは?」
「星を掴むって言葉、なんか、いいだろ。」
「うん。なんか、いいね。でもそれ、何情報なの?お店の人?」
「……拓巳。」
「拓巳かぁ……そういうの好きよだねぇ、拓巳。」
窓の外を眺めながら笑う百香に、石の意味を告げる。
「11月の誕生石はトパーズ。希望と友情。エジプトの神様、太陽神の石だって。」
「うん。」
「6月はムーンストーン。旅人を導く石。あとは…………」
「あとは?」
急に黙った祐樹を振り返って、百香が促す。
「……忘れた。」
そう言って、祐樹は言葉を濁した。