恋は、秘密主義につき。
佐瀬さんの部屋があるビルの駐車場で起こされて、そのまま有無を言わせずバスルームに連れ込まれてからは。
ほろ酔い気分から一気に濃密な熱情に熔かされて。浮かされる。

昇り詰めて絶え絶えなのに、すぐに敏感なところを探られては佐瀬さんの中に引き摺りこまれ、貪り尽くされる。

耳の奥から爪先まで隈なく。
混ざり合って、そうしたら。

あなたと同じ水の中でしか私も、生きられなくなるのかもしれません・・・・・・。






微睡みながら寝返りを打つ。顔に当たった素肌の感触に、無意識に自分からすり寄った。
筋肉質の上体に腕を巻き付けてしまったのも無条件反射。ベッドが軋んだかと思うと、佐瀬さんが重そうに体をひっくり返して私を捕まえる。

「・・・ナンか気持ちいーな、オマエ・・・」

気怠い溜息のあと、抱き枕のように胸元に抱き込まれ脚と脚がからむ。
弾力性のあるスベスベの肌に頬を寄せてくっ付けば。背中に回った手が、なぞるように腰を滑って下りていく。

「・・・だめ、・・・ぁ・・・っ」

「イイ子にしてろ・・・」

どこか甘くて妖しい命令のまま。
時間までがブラインドで遮られているみたいに。朝をとっくに迎えている部屋で、夜の続きに没頭して。



ここを出たら。私を待っているのは愁兄さまと、現実。・・・逃れようもない。



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