恋は、秘密主義につき。
それからも気の向くままにお店を見て回り、気軽に入れそうなフレンチレストランでランチを。午後からはまた電車で移動して、大きなターミナル駅のショッピングビルを回遊する。

お揃い好きのふーちゃんは今度は、アクセサリーのお店でペアのピンキーリングに釘付けになって。
私の左小指と自分の右小指に、輝石が色違いのシルバーリングをはめ、店員さんに丁寧に見送られながらお店を出てからも。繋いだ手をときどき掲げては、嬉しそうにそれを眺めます。

「ミレイ、お風呂入る時も寝る時も、絶対に外しちゃダメだよ? もし外したら」

すっと目を細めて耳元に顔を寄せられた。

「・・・お嫁にいけないくらい、ひどいお仕置きするからね?」

どんなお仕置きなのか全く見当もつきません。つきませんけど、本能的に何かを察知して。背筋が冷んやりするほど抑揚のない低い声に、コクコクと必死に首を縦に振った私なのでした。
< 83 / 367 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop