Magic ring

「わっ！ちょ、ちょっと……！」



「城を出るとすぐ側にクラファの泉がある。そこで祈るとリングが現れたっていう一説を聞いたことがあるんだ。物は試しだ。」



「クラファ？！なっ…なにそれっ…はぁ、」




スピードが早すぎてもう既にヘトヘトな私に対し、彼は走りながら途切れ途切れになることなくそう話してくれた。




＊＊




私達のいた部屋から約200mくらいありそうな所まで全力疾走でやって来たものの彼はどっちかと言うと城の門、というより外側に走っていくので廊下の端にあるガラス窓に向かっているように見えた。



廊下に並ぶ数々の扉の、向かいに並ぶ窓は全てステンドガラスで出来ていてよく見れば分かるのであろう外の景色は、走る私の目には分からなかった。



ただ振り向くと長い長い廊下やいくつもの階段が並んでいることから相当広いのだと実感した。