Magic ring
たまに向かいからすれ違う、多分、お城の使用人さん的な人達は、彼と、それに引きずられているように走る私のスピードに圧倒されて、なのかは分からないけど、驚いた表情でこちらを見ていた。
「…今の時間でミッションに向かっていないのをここの使用人に見られるのはあまり良くないことなんだが…」
端にある窓の扉が見えて来て彼はチラッと振り返り私を見ると少しスピードを落としてくれた。
……なに、優しいところもあるじゃん?
喋り掛ける体力もなく、なぜ走ってるのか謎で頭がいっぱいだが必死の思いで彼についてこれた自分を褒め称える。
ガラス扉の前に着くと彼は私の手を離して、扉を開けた。私はもうヘトヘトで、手が離された瞬間地面に座り込んだ。
体育の授業でやる、持久走の後、いやそれよりも疲れているかもしれない。
「はぁっ、……ついた?…どうすっんの??」
息切れしながら必死で彼に喋り掛けた。
彼はこれはまた豪華なバルコニーのフェンスに手をかけ周りを見回しているようだった。