legal office(法律事務所)に恋の罠

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和奏は、結局、翌日の昼過ぎまで同じ姿勢で寝ていた。

自宅での和奏は決してクールではない。

寝坊もすれば、ただボーッと本を読んでいるだけのこともある。

法律関係の本が、テーブルやソファに積み重なってはいるが、中にはファッション雑誌も混ざっている。

物心ついた頃から規則正しい生活を強要され続けた9年間。

小学校3年生になって山崎家にお世話になるようになってからも、叔父や叔母に遠慮をして常に気を張っていた。

大学を卒業して独り暮らしをするまでは、学校の図書館で過ごす時間が一番リラックスできた。

一人の時間は落ち着く。

洗濯をして、掃除機をかけて・・・。

そんな単純な作業が和奏の荒んだ気持ちを落ち着かせる。

誰とも会わない時間は、常に人と接する職業を選んだ和奏にとっては大切な時間。

もしかしたら、奏から何らかの連絡が入るのではと警戒していたが、そこは公私混同しない立派なCEOなのだろう。

和奏は、いつもと同じようにゆっくりと休日を過ごすことができて安心していた。

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