legal office(法律事務所)に恋の罠
「奏さんは、先日、私が宇津井のことをこの世で2番目に大嫌いな男と言ったこと、覚えてますか?」

「ええ、覚えていますよ。あの日、彼は、私の大嫌いな男Best3にランクインしましたから」

真剣に答える奏だが、内容はどこか冗談めいていて

「気が合いますね」

と和奏は笑って返した。

しかし、次の瞬間、真顔になって言葉を紡ぐ。

「実は、彼以上に嫌いな人物がいます。それは、私の父親です」

夢谷慎之介、55歳、高等検察庁に勤める検事長の彼は、名実ともに、実力派のエリートだった。


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