legal office(法律事務所)に恋の罠
和奏の両親、夢谷慎之介と晴子はお見合い結婚だった。
晴子は、名家の娘でお嬢様として育てられ苦労知らず。
検察庁に勤める検事である慎之介とのお見合い話もトントン拍子に進んだ。
正反対の二人だが、恋人同士としてはとても相性が良かったらしい。
仕事に夢中で、夜遅くにしか帰らない慎之介だったが、晴子の方も趣味や社交の場に出かけることが忙しく、あまりとやかくいうこともない。
そうこうしているうちに二人に長女が生まれた。
夫婦としてはお互いを尊重していれば問題なかったが、育児はそうはいかない。
飽きっぽい晴子は、一通り育児用品を揃えると満足してしまい、ベビーシッターにすべてを任せてしまった。
しかし、父親の慎之介は、自分の子供であるという思いは持ち続けており、和奏が一人で歩けるようになると育児に干渉し始めた。
ベビーシッターが失敗をするとその場で解雇をした。
"和奏の姿勢が悪い"
"マナーがなっていない"
ことあるごとに難癖をつけ、幼い和奏に何時間も正座をさせたりした。
小学校に上がると、テストは100点以外は認められなかった。
家庭教師もつけられ、和奏の成績が悪いと、やはり一方的に家庭教師が解雇される。
「ごめんなさい」
それが幼い和奏の口癖になっていた。
笑わないアイアンフェイスはこの頃から形作られていたといっても過言ではない。
両親から励まされたことも、誉められたことも一度もない。
学校でいくら教師が誉めても決して笑わない和奏を心配した教師が、母方の祖父母に相談をして、両親の子育て事情がわかった。
父親は、虐待をしているつもりはなく、ただ躾のためだと言い張ったらしい。
しかし、躾は度が過ぎれば虐待になりかねない。
そんなことは検事である慎之介にはわかっていたはずだ。
山崎庄太郎は、世間体を気にして渋る慎之介を説得し、和奏を山崎家へ引き取ってくれた。
小学校3年生の和奏は、十分に心を蝕まれてしまい、食事を受け付けなくなってしまっていたのだから・・・。
晴子は、名家の娘でお嬢様として育てられ苦労知らず。
検察庁に勤める検事である慎之介とのお見合い話もトントン拍子に進んだ。
正反対の二人だが、恋人同士としてはとても相性が良かったらしい。
仕事に夢中で、夜遅くにしか帰らない慎之介だったが、晴子の方も趣味や社交の場に出かけることが忙しく、あまりとやかくいうこともない。
そうこうしているうちに二人に長女が生まれた。
夫婦としてはお互いを尊重していれば問題なかったが、育児はそうはいかない。
飽きっぽい晴子は、一通り育児用品を揃えると満足してしまい、ベビーシッターにすべてを任せてしまった。
しかし、父親の慎之介は、自分の子供であるという思いは持ち続けており、和奏が一人で歩けるようになると育児に干渉し始めた。
ベビーシッターが失敗をするとその場で解雇をした。
"和奏の姿勢が悪い"
"マナーがなっていない"
ことあるごとに難癖をつけ、幼い和奏に何時間も正座をさせたりした。
小学校に上がると、テストは100点以外は認められなかった。
家庭教師もつけられ、和奏の成績が悪いと、やはり一方的に家庭教師が解雇される。
「ごめんなさい」
それが幼い和奏の口癖になっていた。
笑わないアイアンフェイスはこの頃から形作られていたといっても過言ではない。
両親から励まされたことも、誉められたことも一度もない。
学校でいくら教師が誉めても決して笑わない和奏を心配した教師が、母方の祖父母に相談をして、両親の子育て事情がわかった。
父親は、虐待をしているつもりはなく、ただ躾のためだと言い張ったらしい。
しかし、躾は度が過ぎれば虐待になりかねない。
そんなことは検事である慎之介にはわかっていたはずだ。
山崎庄太郎は、世間体を気にして渋る慎之介を説得し、和奏を山崎家へ引き取ってくれた。
小学校3年生の和奏は、十分に心を蝕まれてしまい、食事を受け付けなくなってしまっていたのだから・・・。