君の笑顔は、俺が絶対守るから。

まだ人通りの多い道だけど、そばを歩いている人は見当たらない。

気のせいか、とビニール袋を持ち直しまた歩き出す。


ひとりきりで歩くのが久しぶりだから、敏感になっているのかもしれない。

そう思ったのだけれど、ひと気のない道まで来た時、また人の気配がして振り返った。

けれどやはりそこには誰もいない。

いないのに、なぜか視線のようなものを感じてゾッとした。


きっと気のせいだ。誰もいないもん。

自分にそう言い聞かせ、微かに震える足を誤魔化すようにしてまた歩き出す。

自然と早足になり、心臓がドクドクと鼓動を激しくしていく。


そしてまた、足音がした。


気のせいじゃない……?

誰かがあとをつけてきている。

そう思った瞬間、駆け出していた。


もう何も考えられない。

無我夢中で走る私の耳に、同じように駆けてくる足音が聞こえてきて、確信した。
< 186 / 317 >

この作品をシェア

pagetop