君の笑顔は、俺が絶対守るから。
誰かがいる。
追いかけてくる。
全力で走る私を、追いかけてくる。
半分パニックになりながらも、足は止めずに鞄をさぐる。
スマホで誰か、警察か、とにかく助けを求めなくちゃ。
あとはもう、一ノ瀬の家に一秒でも早くたどり着くことしか頭になかった。
なんで? どうして?
一体誰が?
恐怖でいっぱいになった時、スマホに電源が入り、その瞬間着信音が聞こえ無我夢中でスマホを耳に当てていた。
「も、もしもし!」
『……佐倉? どうした。走ってんのか』
「一ノ瀬くん! いま、誰かに、追いかけられてて!」
『どこだ。家に向かってる?』
「うんっ」
『俺も向かってる。すぐ追いつくから、通話このままにしてろ』
言われた通り、スマホはそのままに走った。
一ノ瀬くんの声は聞こえなくなったけど、彼と通話が繋がっていると思うとそれだけで心強い。