君の笑顔は、俺が絶対守るから。

砂を踏む音が近づいてくる。


誰か……!

助けて、一ノ瀬くん!



『佐倉!!』


もうダメだと思ったその時、私の呼びかけに応えるような有馬くんの声がした。

それはスマホから響いてきたんだけど、後ろにいた誰かは違うと思ったのかもしれない。


慌てたように離れていく足音がして、命の危機は脱したのはわかった。

全身から力が抜ける。

上手く立てず、這うようにしてスマホを手に取った時、


「佐倉!」


スマホと真後ろから、同じ声が聞こえて振り返った。


「一ノ瀬くん……っ」


ものすごい速さで駆けてくる彼の姿を見た瞬間、涙がこぼれた。

ほっとして、嬉しくて、もう大丈夫だと心から思えて。


「佐倉、大丈夫か⁉」

「だ、だいじょうぶ」

「怪我は? 追いかけてた奴は? 何もされてないか⁉」
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