君の笑顔は、俺が絶対守るから。
転んだ時、膝と手を擦りむいていたことに、家に帰ってから気がついた。
コンソメは無事だったけど、プリンは蓋が外れぐちゃぐちゃになってしまっていて、とても食べられる状態じゃなかった。
せっかく美味しそうなプリンだったのにもったいない。
「ごめんね、春陽くん。一緒にプリン食べようと思ったんだけど」
リビングのソファーで京子さんに怪我の手当てをされながら呟く。
心配そうな顔で横にぴったりくっついていた春陽くんが、慌てて首を振った。
「そんなの! プリンより、梓おねえちゃんが無事でよかったよ」
「無事じゃないわよ。乙女の柔肌傷つけるなんて、最低な奴がいたもんだわ」
大きめの絆創膏を貼り終えた京子さんが、鼻息荒く言う。
「梓ちゃん。本当に警察に行かなくていいの?」
「はい……。だって、相手の姿、まったく見てないんです。追いかけられたっていうのも、足音が聞こえただけで。もしかしたら勘違いだったかもしれないし」