君の笑顔は、俺が絶対守るから。

「でもお前が走っても、追いかけてくる足音があったんだろ? 気のせいってわけじゃないんじゃないか?」


別のソファーに座りながら、真面目な顔で言った一ノ瀬くんに、あいまいにうなずく。


「そうだけど、でも……」

「やっぱ警察行こう。電車で痴漢にも遭ってるし、もしかしたら同じ奴に狙われたのかもしんねーだろ」

「そうね。警察には一応知らせておきましょう。早い方がいいわね。食事のあと車出すから、一緒に行きましょう?」


これ以上一ノ瀬家の人たちに心配や迷惑をかけるのもよくないか……。

結局私はうなずき、夕食のあと京子さんに連れられ警察署に行った。


一ノ瀬くんも来てくれて、電車で痴漢に遭ったこと、前もあとをつけられたように感じたことを説明してくれた。

話している間ずっと手を握っていてくれて、こんなに男の人の手を頼もしく思ったことはない。

本当に嬉しかった。
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