君の笑顔は、俺が絶対守るから。




月曜の朝。

家の玄関を出た時の景色を、ひどく懐かしく感じた。

マンションの12階からは、同じようなマンションや、その隙間から青空が見える。

一ノ瀬のお家は、玄関を出るとすぐにお庭と屋根つきの車庫が見えて、向かいの家の犬がよく柵の間から顔を出していた。


「行ってきます!」

「行ってらっしゃい、梓ちゃん。気をつけてね」


お母さんに見送られるのも久しぶりで、少しくすぐったく感じながら駅へと走った。

ひとりで電車に揺られ、ひとりで学校の最寄り駅で降り、ひとりで学校に向かう。


この1ヶ月はずっと一ノ瀬くんと一緒だった道のり。

そんなに仲良くたくさん会話したわけじゃないけど、いつだって彼がすぐそばにいた。

寂しくないわけがない。


元に戻っただけなのに、と考えていると、前方に見覚えのある後ろ姿を見つけ、思わず駆け出した。


「一ノ瀬くん……!」
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