君の笑顔は、俺が絶対守るから。
動こうとしない一ノ瀬くんに首を傾げる。
一ノ瀬くんは学校の方に背を向けたまま、気まずげに頭をかくだけで、立ち止まったまま。
何か隠してる……?
目だけで彼の後ろをうかがえば、また見覚えのあるシルエットを見つけた。
「あれ? 高橋くんじゃん。朝練なかったのかな?」
「あー……。大会が終わったとか、なんとか」
「そうなんだ? って、一緒に来たんじゃないの?」
私が歩き出すと、一ノ瀬くんも慌てたようについて来る。
なんでこんなに挙動不審なんだろう?
不思議に思いながら早歩きをして前方を歩いていた高橋くんに追いついた。
そしてすぐに、一ノ瀬くんがひとりで歩いていた理由を知る。
高橋くんは、サッカー部のマネージャーである先輩女子と歩いていた。
なるほど、彼女との時間を邪魔しないよう、遅れて歩いてたんだ。
「やっぱり一ノ瀬くんて、優しいね」