君の笑顔は、俺が絶対守るから。

「はあ? なんでそういう話になるんだよ。意味わかんね」


ふてくされたように言うのも照れ隠しだって、いまはわかってる。


好きだなあ、この人のことが。

改めてそう思った。


校門の前で、高橋くんの彼女は友人に声をかけられたようで、ふたりは別れていた。

高橋くんが振り返り、私たちに気づいて軽く手を上げてくれる。


「ほら。高橋くん呼んでるよ。行こ」

「お前は……。ほんと能天気な奴だな」

「ええ? いきなり悪口? ひどくない?」

「俺が誰のために気ぃつかってやってると思ってんだか……」

「一ノ瀬くん? 何言ってるの?」


ぶつぶつ何か文句を言っていた一ノ瀬くんだけど、「何でもねーよ」と呟いて先に高橋くんの元へ向かう。


なんだか機嫌が悪い?

でも、どうして?
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