月夜の砂漠に一つ星煌めく
「ですから……要するに……」

「えっ?」

何を言っているか分からずに、ハーキムに耳を近づける。

「ですから!好みの女を、夜の寝室に招いて!一晩中イチャイチャできるのです!」

「ええー!!!」

俺は廊下の途中にある、柱の影に隠れた。

「もしかして……あれは……」

「そうです!今夜のジャラール様の、夜の相手を望む女達ですよ!」

「げっ!」

よく見ると、薄い衣を纏った女達が、濃い化粧をしながら、俺が通るのを待ち望んでいる。

ネシャートとは、全く違う人種だ。


「ハーキム……」

「はい!」

「別な道は、ないか?」

「ありません!」

「あそこは、通りたくない!」

通ったら、あの女達に何をされるか、分かったものではない。

「怖じ気づくのですか?それでも、アラブの男ですか!」

ハーキムは俺の腕を掴むと、ズルズルと廊下を進む。

「待て!待ってくれ!ハーキム!」
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