月夜の砂漠に一つ星煌めく
「そうか……では、その者達の為に、“王子”は続けなければならないな。」

「ジャラール様……」

「これからも、頼むぞ。ハーキム。」

「は、はい!」

王子として資質が、俺にあるかは分からない。

けれど、“王子”として望んでくれる人がいるのであれば、それに応えたいと、思ったんだ。


そして、自分の部屋に戻る為の、長い廊下に出た。

「ん?」

遠くにたくさんの、人達を見つけた。

「ハーキム。あれは何だ?」

「ああ!」

ハーキムは、ワクワクしている。

「とうとう始まったんですね、ハーレムが。」

「ハーレム?」

俺は首を傾げた。

そんな事、聞いた覚えがない。


「アラブの男は、好みの女を何人でも、周りに囲えるのです。」

「囲える?周りに座らせて、それが楽しいのか?」

益々、分からなくなる。

「あー!そうじゃなくて!」

するとハーキムは、俺の耳元で、何やら囁き始めた。
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