月夜の砂漠に一つ星煌めく
「えっ?あ、ああ……」

「今のあなた様程、王子と呼ぶのに、相応しい方はおりません。」

「そうか……有り難う。」

なんだか、あれだけ厳しかった先生が、そんな事を言うなんて、益々調子が悪くなる。

「では、今日はここまでに、しましょうか。」

「先生……」

「では、お先に。」

剣を収め、スタスタと去って行く先生。

姿が見えなくなると、ハーキムと一緒に、声を抑えて喜んだ。


「何をする?ハーキム!」

せっかく空いた時間、子供のように、ウキウキした。

「そう言えばジャラール様。王の間の上に、星の間と呼ばれる部屋があるのを、ご存じですか?」

「星の間?初めて聞く。」

「では、行ってみましょう。まだ明るいですが、月ぐらいは、見えるかもしれませんよ?」

「よし!行ってみよう!」

俺は月と聞いて、即答した。


たまにハーキムと一緒に、野宿に出る時も、月が出ている時が多かった。
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