月夜の砂漠に一つ星煌めく
「ジャラール。確かに私は、そなたが生まれた日、ここへ来た。」

俺はまた、天井を見上げた。

「だが、悲しかったのではない。そなたに相応しい名を、授かりに来たのだ。」

驚いた俺は、ガバッと起き上がった。

「いづれ、私の全てを受け継ぐこの子に、ここから見える全ての世界を手に入れる、偉大な男になってほしいと……」

「父上……」

「ジャラール。そなたは、この満天の星のように回る運命さえも、自分の力で回せるようになれ。」

そう言うと国王は、ゆっくりと起き上がり、そのまま星の間を、出て行ってしまった。


「ジャラール様。」

「ああ……」

自分の名前に、そのような意味があったなんて、今初めて知った。

「ハーキム。ここへ連れて来てくれて、有り難く思うぞ。」

「いいえ。私こそ……ジャラール様のお名前の、由来をお聞きする事ができて、嬉しく思います。」

俺とハーキムは笑い合うと、その後二人で、満天の星空を見て帰った。
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