月夜の砂漠に一つ星煌めく
両手を振って、思いっきり否定した。

「ないないない!絶対ない!」

「何よ!それ!」

その女は事もあろうに、俺の体を叩いてきた。

「痛いっ!」

女から、いや他人から叩かれた事がない俺は、それだけで人生観が変わった。


「失礼よね!こんないい女、目の前にして!」

腕を組んで、つーんとしている。

「いくらいい女だって、好きじゃなかったら、そういう事するか!」

「あら、真面目だ事。って言うか今、私の事いい女だって、認めたわね。」

ニヤッと笑った彼女。

ネシャートとは違うタイプだけど、あの廊下に立って、媚を売ってくるような女達とも違う。

「いいわ。一緒に星を見ましょう。」

そう言って彼女は、俺の手を引き、絨毯に寝転んだ。


「君、名前何て言うの?」

「人に名前を聞く時は、自分から名乗るのが、礼儀よ。」

「はいはい。私は、ジャラールだ。」

「あら、この国の王子と、同じ名前じゃない。」
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