月夜の砂漠に一つ星煌めく
俺は通りかかった、一人の男に声を掛けた。

「すまぬが、アリアのテントはどこだ?」

「はあ?アリア?」

その男は、俺の事を上から下まで、舐めるように見ている。

「あんだ、誰だ?アリアと、どんな関係なんだ?」

アリアとの関係?

アリアとは恋人同士だけど、そんな事言って、アリアは大丈夫なのかな。

「……友人だ。」

「へえ。アリアにあんたみたいな、金持ちの友人がね。」

全くこの舞踏団の奴等は、俺がこの国の王子だと言う事に、面白い程に気づいていない。

ここにテントを立ててみれば?と言ったのは、この俺なのに。

そう言えばこの人達、挨拶に来た時、一度も顔を上げていなかったっけ。

今度からは、顔を上げさせて、自分の顔を見てもらうようにしよう。


「兄さん、アリアは今、いないよ。」

「いない?」

「躍りに行っているんだ。アリアは、団長の妹だし、稼ぎ頭だからな。日中はずっと、仕事だよ。」
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