月夜の砂漠に一つ星煌めく
「そうか。有り難う。」

手を挙げて、その男にお礼をした。

「おい、お坊っちゃんよ。」

「ん?」

見るとその男は、腕を組んで面白くなさそうに、していた。

「いくら何でも、それはないんじゃないか?人にモノを教わったら、頭を下げろ。」

俺は、ふっと沸き上がる怒りを、ぐっと堪えた。

「……有り難う。」

頭を下げるなんて、人生初かもしれない。

「分かればいいのさ。」

その男は、鼻息を荒くしながら、去って行った。


そして俺は、首元を掻きながら、また星の間に戻った。

「あーあ。父上の目を盗んで、ここまで来た甲斐は、なかったな。」

見つかったら、また勉強は捗っているか?訓練はどうだ?と、言いかねない。

早く王の部屋を抜け、自分の部屋に戻らないと。

そう思って、足早にその場を、駆け抜けた。


「よし。ここまで来れば、大丈夫だ。」

階段を降り、王の間の脇にある、長い廊下に差し掛かった時だ。
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