月夜の砂漠に一つ星煌めく
「妻に迎えるかは、分からない。だが、別れるつもりもない。」

そう言った途端、ネシャートの目に、涙が溜まり始めた・

「ネシャート?」

何も言わず、首を横に振る彼女。

「はぁぁ……うぅぅぅ……」

はっきりとは分からないが、泣き叫ぶ事を、我慢しているような、気がした。

「ネシャート!」

たまらずに、ネシャートに手を伸ばした。

「触らないで!」

初めて聞く、乱暴な言い方。

「……他の女に触れた手で、私に触らないで。」

「え……」

一瞬、何を言っているのか、分からなかった。


「ひどい方。私はあの後も、あなたを想って、涙を流していると言うのに。」

「ネシャート、すまぬ。」

「そんな簡単に謝って、済む問題だと、お思いですか!」

ネシャートは、後ずさりしながら、息を切らしている。

「ネシャート。落ち着くんだ。」

「来ないで。」

その間も、ハァハァと、息苦しく呼吸をしている彼女。
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