月夜の砂漠に一つ星煌めく
「もう私の事は、忘れたのですか!」

「違う!忘れてなどいない!」

「では、どうして!」

今にも倒れそうなネシャートを、俺は抱き寄せた。


「……どうして、他の女を抱くのですか?」

震える声で、俺に問いかけたネシャート。

目の前には、ネシャートの白い胸元が、広がる。

「……本当に愛している女を、抱く事ができぬからであろう。」

そっとネシャートと、見つめあった。

「本当に愛している女とは、私の事ですか?」

「他に、誰がいると言うのだ?」

陶器のような肌に、手を添えた。

ゆっくりと、唇が近づく。

お互いの吐息が感じられる距離で、一緒に目を閉じた。


その時だ。

「ネシャート様!」

ラナーの声がした。

「ネシャート様!どこにおられますか!」

俺はネシャートから、離れた。

「……ラナーが、探している。」

「はい。」

「また、会おう。」

泣きそうな顔をして、ネシャートはラナーの元に、戻って行った。
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