月夜の砂漠に一つ星煌めく
「くそっ!」

壁が壊れるくらいに、何度も何度も叩いた。

手に痛みが走って、気づいたら壁に、血の跡が残っていた。

こんな時に、無償に会いたいなるのは、なぜネシャートではなく、アリアなのだろう。

自分が嫌になりながら、俺は再び王の部屋を、ふらりと過ぎ去った。


星の間に一人で来て。絨毯の上に、一人寝転んだ。

もうアリアに会わなくてもいい。

一人で、ネシャートを忘れるつもりだった。

「ネシャート。」

呼ぶと瞼の裏に、ネシャートの笑顔が浮かぶ。

「ネシャート。ネシャート。」

何度も何度も、彼女の名前を呼ぶ。


呼ぶ度に、幸せになって。

呼ぶ度に、切なくなる。


「ねえ、ネシャートって誰?」

目の前で、アリアの声がする。

ぼやっとした視界が、はっきり映ると、いつの間にかアリアが、俺を覗きこんでいた。

「うわっ!アリア!」

驚いて、起き上がる。


ふいうち過ぎる。
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