月夜の砂漠に一つ星煌めく
「実は……国王より。」

「父上から?」

ハーキムは、言いたくなさそうだが、俺が話す事を待っていると知って、深呼吸を一度した後、話し始めた。


「ジャラール様を、他の国の王子として、差し出すと仰せです。」

「なに!?」

俺が、他の国へ?

「国王は、このままジャラール様が、この国の臣下として埋もれてしまう事を、大変嘆いていらっしゃいます。他で、跡継ぎの無き国、婿を探している国があれば、ジャラール様をその君主として、迎い入れてほしいと。」


いつか見た国王の、優しい眼差しが、思い出される。


「父上は、俺が邪魔なのか?」

「そうでは、ありません!ジャラール様の才能を、買っておいでなのです。」

俺は何も言わずに、階段に座った。

「それは、いつぐらいに決まるのか?」

「私の勝手な予想ですが、成人の儀をお迎えになったあたりかと。」

15歳になった俺は、この国からお払い箱と言う事か。
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