月夜の砂漠に一つ星煌めく
「いいえ。私にはそのようなお話、全くありません。」

「そうか。」

たぶん、俺が他国に行ったら、どこかの姫を妻に迎えるのだろう。

そうなれば、気になるのはネシャートの行く末だ。

できれば、自分の意に叶った男と、そうでなくても、ネシャートを幸せにしてくれるような男と、一緒になって貰いたい。

それが、ネシャートを愛した俺の、唯一の願いだった。


「……ジャラール王子は、どこの国へ行くのか、お決まりになったのですか?」

俺はもう少しで、ため息が出そうになった。

知らぬは俺だけで、俺以外の皆は、その話を知っているのだから。

「いや……俺の方も、決まってはおらぬ。」

「そうでしたか……」

ネシャートの気持ちが、痛い程分かった。

何故って?

思う事は、一緒だと知っているから。


「できれば、我が国と友好を結んでいる国が、いいですね。」

「そうか?」

「敵対する国であれば、ジャラール王子の、気が休まりません。」
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